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新車試乗記 第260回 トヨタ ハリアー AIRS Toyota Harrierairs

(3.0リッター・4WD・367万円)

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日時: 2003年03月15日

 

キャラクター&開発コンセプト

高級SUVのパイオニア

97年に誕生した「ワイルド・バット・フォーマル」の初代ハリアー/レクサスRX300は、日米市場合わせて53万台の大ヒット。特に、その8割を販売したアメリカでは「ラグジュアリーSUV」の先駆けとして大成功を収めた。

操縦性向上とハイテク装備

03年2月17日に発売された2代目ハリアーは、キープコンセプトで登場。操縦性や高級感の向上もさることながら、世界初となるハイテク装備を満載。ミリ波レーダーによる「プリクラッシュセーフティシステム」、可動式HIDヘッドライト「インテリジェントAFS(アダプティプ・フロントライティング・システム)」が新しい。

ハリアーあらため、レクサスRX300?

間もなく発売される北米分(RX330)も含めて、生産予定は1万1500台/月。国内の目標は2,500台/月だ。生産は「トヨタ自動車九州」(宮田工場)だが、今年秋からカナダでも生産が始まる予定。2005年に予定される国内でのレクサス店展開時に、「レクサスRX300」となるかどうかは、トヨタによると今のところ「未定」だ。

価格帯&グレード展開

249~367万円で3グレード展開。

大きく分けて、2.4リッター直4エンジン搭載の「240G」(249~305万円)、3.0リッターV6の「300G」(281~341万円)、そしてエアサスを備えた最上級グレード「AIRS」(343~367万円)となる。「AIRS」の分、先代(244.5~318.5万円)より50万円ほど上限がアップ。全体的に価格が少し上昇したのは、オートマの5速化や装備の充実のせいだろう。

プリクラッシュセーフティシステムは50万円!

全車に大型電動マルチパネルムーンルーフ(16万円)、本革シート(15~17.6万円)を用意。極め付きは、前と後、そして左前方!のモニター機能を持ったDVDナビ(35.7万円)や、レーダークルーズとサイド&カーテンエアバッグとセットになった世界初「プリクラッシュセーフティシステム」(50万円!)。

北米ではBMWのX5がライバル

ライバルとしてトヨタは後発のBMWのX5を名指しする。日本では648~1070万円もするX5だが、アメリカでの価格は3.0iが3万9500ドル(約470万円)。一方、レクサス RX330はFFで約3万5700ドル(約420万円)、4WDで3万7500ドル(約440万円)だ。ブランドイメージもレクサスならタメを張る。それから考えると、国内用「ハリアー」の価格は大バーゲンだ。

パッケージング&スタイル

大型化して、室内も広く

サイズは全長4730mm×全幅1845mm×全高1670mm。先代に比べ、主に全長が伸び(プラス155mm)、幅も30mmワイドになった。劇的な構造変更はないが、シャシーは新設計。ホイールベースは100mmアップして2715mm。これは後席足元スペースに効いた。先代でも十分だったが、新型ではもう文句が言えない。後席シートは120mmスライド可能。フロアもフラットで、なかなか居心地が良い。

さらにスポーティになり、注目度は高い

「プレステージ性」を追求したスタイルは、先代ハリアーをさらにスポーティにした感じ。後ろ下がりになったルーフや傾斜したリアガラスは、言うまでもなくトヨタが最近好んで用いる手法。インパクトはあまり感じられない。にも関わらず、街中でたいへん注目度が高かったのは、人気モデルの新型だったせいか?リアの透明コンビランプは、好みが分かれると思う。

レクサス・クオリティ

室内は木目と金属調パネルで分かりやすく高級感を演出。隅々まで気を配った質感の高さは、相変わらず驚異。インパネは「ハリアー(鷹の一種)の名称にちなみ、鷹が翼を開いて舞い上がる姿をイメージ」と資料にあるが、アメリカではどう説明するのだろう? ちなみに、イギリスの垂直離着陸戦闘機も同じ「HARRIER」だ。3分割ガラスルーフ「電動マルチパネルムーンルーフ」は、最近のヨーロッパ車に多い「天井ほとんどガラス張り」状態。日差しが暑い時に小柄なドライバーがサンシェードを閉めようとしても手が届かない! ほど大きい。

バックドアは電動

あと、センターコンソール大型小物入れのフタが電動でもないのにプッシュボタン一つで開閉出来るのが面白い(バネ仕掛けらしい)。荷室にはプッシュオープン式の床下収納を2つと、手動ストッパー付のものを1つ装備。バックドアはキーレスやスイッチで電動開閉できる。さらにトノカバーはバックドアに連動して自動的に巻き取られる。荷室はなかなか芸が細かい。

「世界初」で磐石の安全性

アメリカは世界で最もクルマの安全性にうるさい国。60年代以降、操縦安定性からクラッシュ時の安全性まで日本車も米国車も何度かやり玉に挙げられた。トヨタ車も例外ではない。

だから、というわけでもないだろうが、ハリアーの安全装備には念が入っている。損傷率が高くて日常生活に支障を来たしやすい下肢(主に膝)を守る運手席ニーエアバッグを全車標準装備。大型SUVが多いアメリカで今問題となっている、歩行者の傷害軽減にも気を配る。

さらに、進行方向を照らすヘッドライト「インテリジェントAFS」(右折時は右ヘッドランプが最大15度、左折時は左ヘッドランプが最大5度、それぞれ照射軸が移動)や、レーダークルーズコントロールに使うミリ波レーダーを応用して衝突を予知、シートベルトを巻き取り、ブレーキアシストの立ち上がりを早める「プリクラッシュセーフティシステム」などなど、「世界初」の技術をふんだんに投入。「トヨタ車=最も安全」というイメージを何としても根付かせたい、という意気込みが感じられる。

基本性能&ドライブフィール

サイズはやっぱりアメリカン

走り出して感じるのは、何となく見切りの悪いフロントと左サイド。と思ったら、試乗車にはフロント、左前方、そして後方と、計3つものモニターが装備されていた! 見切りの悪さはトヨタも認識しているということか。ただ、同クラスのクルマに比べてことさら良くないわけではない。アメリカでなら誰が乗っても「コンパクトでとても乗りやすい」と言うだろう。

3.3リッターがベター?

試乗した「AIRS」は3.0リッターV6を積むトップグレード。先代とスペック的にまったく同じ220馬力、31.0kgmを発生。一方、車重は約100kg増え、試乗車はさらにオプション追加で60kg重い1890kg。そのせいか「パワフル」という感じはない。レスポンスやキックダウンの反応もやや遅い。このあたりは血の気の多い日産VQ35DEと正反対。RX330という名前で分かる通り、北米仕様は3.3リッター。大排気量V8の走りに慣れ親しんでいるアメリカ人だと、この3.0リッターでは物足りないはずだ。

レクサスと言えばやっぱりこれ

素晴らしいのは静粛性。ロードノイズはほとんど完璧に遮断されているように感じた。資料には「従来の遮音構造に、吸音重視のボディ構造を付加した」とある。アメリカ仕様のオールシーズンタイプでなく、オンロード専用の「POTENZA」のせいもあるだろう。アメリカでドライブしていて一番うるさいのが、荒れた路面から車体を通して伝わってくるロードノイズ。日本の国道で「あ、ここだけウルサイな」と思う舗装が、延々と続くと考えると近い。ハリアーのロードノイズへの取り組みは、そんな事情もあるのでは、と思ってしまう。

乗り心地は基本的にはたいへん滑らか。いかにもエアサスといった感じの、ロール/ピッチングを抑えた走り。スプリングとダンパーの動きを感じながら走る、アナログ的な乗り心地が好きな人は馴染めないかもしれない。

VSC&TRCの効き方

エアサスはスイッチで3段階に高さが選べる。スポーツ走行用の「Loモード」なら、235/55R18というポテンザRE031の威力もあって、かなりスポーティな走りが可能(乗降モードを選べば、エンジン停止時にさらに落ちる)。操縦性はどこまで行ってもアンダー。パワーをかけ過ぎてリアが流れかけると、トラクションコントロールが強烈に効いて失速する。もう少し穏やかな効き方が良いと思うのだが。

レーダークルーズの意外な使い方

意外というと何だが、今回は再認識したことがある。これまでと同様に、最高117km/h程度にしかセットできないレーダークルーズコントロールだが、70~100km/h程度でトロトロ流れる都市高速道では、これがかなり実用的だった。スイッチを入れておけば、ほとんど自動運転に近い。東名などと違い、混んでいて飛ばすに飛ばせない道ゆえ、逆にレーダークルーズでクルマまかせにしておくと、ほぼ自動運転に近い走りができた。

ここがイイ

スタイリング。荷室に大きな荷物を載せることなんてそうない(だってアメリカ人はトラック持ってますから)と考えて割り切ったカッコ。もはやこのクルマをRVとして乗る人は少ないはず。形はSUVだが、この豪華さ、このルックス、この快適性はラグジュアリーセダンと同様の使われ方をしても遜色ないものになった。

安全装備の数々(後述)、日本車ならではの小技のきいた荷室装備、静かで快適な走り。お値打ち感のある価格。

ここがダメ

試乗車に関しては、絶対的なトルク感がないのが残念。アクセルを入れると、一呼吸あって軽くシフトダウンしたようなショックを伴いながら加速する。キビキビ感の演出だとしたら、このクルマの性格にはちょっと合っていない。V8のデロンとしたトルクに乗って走りたい、と思ってしまった。

ハンドリングが軽快かどうかよくわからないほど、VSC&TRCが効きまくり。トヨタの他の車種ではここまで効くことはなかったのだが。ちょっと不自然。

総合評価

走りや快適性、豪華さなどにそう文句をつけるところはない。それよりこのクルマで大きく評価すべきは、その安全装備や運転支援システムだろう。

まずロービームの光軸を電子制御して左右に動かすインテリジェントAFS(世界初装備)。これは往年のシトロエンSMのものとは違い、ステアリング舵角と車速を計算して最適な角度を決めるもの。技術的には難しくないが、今までなかったのは規制があったためらしい。今後は各社が取り入れてくる技術だ。ディスチャージドヘッドランプも全車標準。

プリクラッシュセーフティシステムも世界初。あまり知られていないが下肢に受ける衝撃を柔らげる運転席ニーエアバッグも標準装備。ここまで安全性を強調するなら、一般の人でも体験できる模擬装置を開発して欲しい。

フロントのエンブレム部内蔵カメラでノーズ左右が見られ、助手席サイドミラーにあるカメラで左サイドが見られる。特にサイドのカメラは無粋なフェンダーミラーを無くすには十分な性能だが、これも行政指導なのか、ミラーがまだあるのは残念。リアにも、もちろんカメラがある。これらのモニター画像には巻き込み回避ラインなど様々なガイド線が表示されるが、使いこなすにはかなり慣れが必要だ。

レーダークルーズは前述のように、混んだ高速で走る限り、かなりいい装備に思えた。走行中のクルマ全てがこの装置を使えば、縦列自動運転道路は、あっけなく実現してしまうだろう。アクセルを踏むことなく、安全な車間距離を保ちながらクルマの流れにのって走れるこの状態を、3車線の高速道路の1車線を使って実現させたいものだ。第2東名の建設縮小案によって、それも夢と消えそうだが。

ただ、ちょっとヤバイ場面にも遭遇した。大きなコーナーの手前で先行車がたまたまいなくなってしまったのだ。このコーナーは80km/hくらいが安全マージンのある速度。先行車がいなくなった結果、ハリアーは設定速度の115km/hへ向かってぐんぐん加速しながらオーバースピード気味にコーナーへ侵入した。ブレーキを踏めば解除されるので、実質的に問題はない。とは言え、現状では「レーダークルーズ作動時のマッタリ感」と「運転中は緊張していましょう、という常識」に、相容れない部分がありそうだ。

試乗車スペック
トヨタ ハリアー AIRS
(3.0リッター・4WD・367万円)

●形式:UA-MCU36W-AWAGK●全長4730mm×全幅1845mm×全高1670mm●ホイールベース:2715mm●車重:1890kg(F:1110+R:780)●エンジン型式:1MZ-FE●2994cc・DOHC・4バルブ・V型6気筒・横置●220ps(162kW)/5800rpm、31.0kgm(304Nm)/4400rpm●10・15モード燃費:9.1km/L●タイヤ:235/55R18(ブリヂストン POTENZA RE031)●価格:367万円(試乗車:469.3万円 ※オプション:プリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロール+サイド&カーテンエアバッグ 50万円、前後横モニター&DVDナビ 35.7万円、電動ムーンルーフ 16万円)

公式サイトhttp://www.toyota.co.jp/Showroom/All_toyota_lineup/harrier/index.html

 
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